アーキサイトから販売されている「ARCHISS(アーキス)ProgresTouch RETRO TINY」英語配列・スピードシルバー軸(銀軸)の俺々レビューです。主にプログラミングやゲームで使用する上で気付いた細かい点も含めレビューしていこうと思います。
目次
対象機種
- ARCHISS ProgresTouch RETRO TINY
- 英語配列
- スピードシルバー軸(銀軸)
- 販売価格は1万円前後?
いわゆる65%キーボードというやつです。なお、私は主にプログラミングやFPSゲームに使用してきました。いつも通り、メーカーのHPを見れば分かるスペック的なところにはあまり触れず、実際に使用して個人的に感じた良い点・悪い点をつらつら~っと書いていこうと思います。
良い点
まずはやっぱりコンパクト
この機種特有のメリットではないですが・・・やはり65%のコンパクトボディはいいですね!右側にマウス用の領域を大きく取れるので、FPSゲームをやるにはもってこいです。レトロといいつつスタイリッシュでミニマルなデザインも素敵です。持ち運びも便利だし。一度慣れると止められないのが65%キーボードだと思ってます。
もちろん、ファンクションキーが無いのでFn+数字の同時押しですが、英語配列を選んでいる時点でタイピングには慣れている人だと思うので、その辺りは苦にならないでしょう。なりませんよね? 後述しますが、Fnキー同時押しレイヤーも非常に便利に設計されています。
Fnキーとの同時押しがイイ!
F1~F12は通常のコンパクトキーボードと同じ Fn + 数字 です。でもこのキーボードはそれ以外の部分が地味に便利です。
↑これは公式のマニュアルの一部なのですが、この中で私が思う便利だなと思うキーバインドは、
- Fn + 右Ctrl : アプリケーションキー
- Fn + ↑ : PageUp
- Fn + ↓ : PageDown
- Fn + ← : Home
- Fn + → : End
ですね。地味なところかもしれないですが、こういう細かいとこって後々しみじみと便利さを感じるようになってきますよ。マウスを使わず極力キーボード派の人って、意外とアプリケーションキーを使用しますからね。
Home/End/PagUp/PageDownについては他にも Fn + K/L/</> にも割り当てられているのですが、こちらは直感的ではない上、慣れが必要だと思うんです。その点 Fn+カーソルキーだと、カーソル向きと実際の挙動がイメージと合うので、すんなりと手が動くようになると思います。意外とこのキーバインドは採用されていないのですが、どうしてどのメーカーもこのバインドにしないだろう・・・?
Shift + ESC で「~」が発動
さきほどのマニュアル抜粋にも記載がありましたが、なんと Shift + ESC で「~(チルダ)」が入力されます!なんという細かい気配り!これは相当地味ですが、相当気が効いてると思います。実はこのキーバインド、AutoHotKeyという設定ツールにて個人的に設定していたものと同じでして。それがハード的に対応されているという点が嬉しかったですね。「ですよね!やっぱみんなそう思ってましたよね!?」みたいに自己承認欲求を満たされた気分です。
65%+英語配列を使用する上で常にネックになるのが、「ESC・バッククォート(`)・チルダ(~)問題」だと思います。おそらく、ほとんどの機種ではESCとバッククォート・チルダが同じキーに割り当てられており、それを切り替えるのにFnキーとShiftキーを併用する仕様になっていると思います。ただこれらのキーって、プログラマーにとってはかなりよく使用するキーなんですよね。ですので同時押しが結構面倒くさい。
たとえば同じ65%のKeychron K6でチルダを入力しようとすると、2つあるFnキーのうち、2つのめFn2キー+ESCで入力できるのですが、どっちのFnキーだったか毎回悩むということがありました。その点、このRETRO TINYはShift + ESCで済みます。これはフルキーボードにおける Shift + ` と全く同じイメージでタイプできるので、非常に違和感なく手が動くんです。はっきりいって、英語配列を使わない人にはさっぱりわけが分からない話だと思いますが、英語配列フリークには結構刺さる内容だと思います。
Fn+Qを押せば、ESCの単押しをバッククォートに固定することもできます。とにかく「気が利いてるな~」という印象です。使う人のことをよく考えているメーカーさんだなあと、非常に信頼できます!
右側のキーのチョイスがいい
65%レイアウトで気になる点といえば、カーソルキー上部のキーが何になってるかという点でしょう。このキーバインドでは「Ins」「Del」の2つになっています。この2つのキーのチョイスが、個人的にはすごく気に入っています。
Delキーは単純にありがたいです。Keychron K6ではDelはFn同時なのですが、Delキーは非常によく使うキーなので単キーのほうが使い勝手がいいと思います。Delキーを押さない一日なんてありませんから。
もうひとつのIns(インサート)キーなのですが、はっきり言ってこれを普段使用する人ってあんまりいないんじゃないかな?と思うぐらいマイナーなキーかもしれません。しかし、プログラマーかつJetBrains信者にとっては結構よく使うキーでして。コンテキストに合ったコードを生成するショートカットがAlt+Insで、これをよく使うんですよね。だからここにInsがあるのは非常に助かるんですよ。ひょっとしてこのキーボードの開発者はJetBrains信者じゃないかな?(さらにマニアックなことを言うと、Vimでも Shift + Ins でペーストですしね。)
このエリアにキーを2つしか用意していないのも潔くて、個人的には好きですね。3つ目も入りそうだけど、マージンが少なくなってデザイン的にやや窮屈になりそうな気もしますし。2つに絞った上で、この2つをチョイスしたセンス、脱帽です。
文字通りレトロでシックなデザイン
名前に「RETRO」と入っている通り、レトロなデザインとなっています。刻印のフォントなんかもレトロ調を意識しているのでしょうか。癖がなく万人受けしそうな感じで好印象です。安っぽさもありません。ちなみにキーキャップは2色形成らしいので、使いまくって文字がかすれるといったことも起こりにくいそうです。
あまり素材に詳しいわけではないのですが、フレームもABS樹脂ってやつなのでしょうか?あからさまなプラスチック感はなく、チャカチャカした感じではないです。このあたりも個人的には非常にポイントが高いです。
高速タイピングが可能で音も比較的静か
私は初めてのスピードシルバー軸(銀軸)経験なのですが、打鍵感はとてもいい感じだと思います。赤軸より軽い印象ですね。キー入力が浅いのでそのせいかもしれません。軽くて浅いからキー入力をよく間違えるのかな?と最初は不安でしたが、まったくそんなことはなく、普通に使えました。私が持っている他の赤軸・茶軸のキーボードと比べても、高速に入力することが可能です。なんで今まで銀軸を使ってこなかったんだろうと後悔の念に駆られるぐらいです。いやー、まじで気に入っちゃったな。
通常のタイピングはもちろん、ゲームにも向いていると思います。よくFPSゲームをプレイするですが、キー荷重が重いと結構疲れてしまうんですよね。Wキー(前進)を押しっぱなしにしていることが多いのですが、長時間プレイしていると意外と左手に負荷がかかってしまいます。それがこのキーボードにしてからは、かなり軽減された印象です。キー入力が浅いので、なんだか軽快にキャラコンできている気になれます。バックライトも無ければマクロ機能等もありませんが、そういった機能を必要としない方なら、充分ゲーミングキーボードとして活用できると思いますよ。
ケーブルが取り外せる
めちゃくちゃ地味なポイントですが、ケーブルが本体から取り外せる点もGoodです。まあほとんどのメカニカルキーボードはだいたいそうなんでしょうけど、、まれに取り外せない製品もありまして。本製品はレトロをうたっているので、まさかそこまでレトロにされちゃったら嫌だなあと思っていましたが、そこは大丈夫でした。ただし、後述しますがケーブルに関しては気になる点もあります。
値段がお求めやすい
いわゆる「高級キーボード」と呼ばれるこの手のメカニカルキーボードの中では、かなりお求めやすい価格だと思います。1万円前後で購入できるんじゃないかな?かなりコスパ高いと思います。高級キーボードの入門用としてもいいんじゃないかな。
悪い点
実は悪いと言うほど悪い点ってないんですけど、いちおうイマイチかなと思う点を挙げていきます。
メディア系のキーが無い
メディア系のキーというのは、ボリューム上げ下げや曲の再生・一時停止、前の曲、次の曲・・・といったやつらです。あれがありません。音楽を聴きながら作業することが多いので、無いと微妙に不便です。私はAutoHotKeyという設定ツールで割り当てているのですが、欲を言えばハード的に対応できていればもっと嬉しかったかな。
素人考えではFnキーとの同時押しで対応できそうな気がするのですが、難しいんですかね?あるいは、「レトロ」をうたっているので、そういった軟派なキーは必要なしという考えなのでしょうか・・・?
スペースキーが短い(Windowsキーが小さい)
通常はこの長さなのかもしれませんが、個人的にはスペースキーがやや短いように思います。Keychron K6を使用していたので、そこと比べるとやや短いです。普通の人はあまり気にしない点かもしれませんが、自分にとっては不都合なことが2つあります。
- 左ALTの親指押しがやりづらい
- Windowsキー併用のショートカットが押しづらい
ALTって様々なショートカットに使われると思うのですが、私はホームポジションを崩さず、左手の親指でALTを押しています。それがやりづらい。かなり意識して親指を曲げないと押せないんですね。そこがちょっとつらいかな。
FPSゲームをするときも、スペースキーがジャンプになってることが多いのですが、左手親指をスペースキーの専属にするにはもったいないので、左ALTにも機能を割り当てている私のような人は、やや苦労するかもしれません。若干反応速度が落ちてしまうんです。
たぶんWindowsキーを1.5ユニットではなく1.0ユニットにしているから、必然的にスペースキーが長くなってるんだと思うんです。で、このWindowsキーの方も結構よく使うキーなんですよね。Windows+Eでエクスプローラーを開いたりだとか、Windows+Ctrl+カーソルで仮想デスクトップを移動したりだとか、Windows+カーソルで、ウィンドウを移動させたりだとか。とにかく、結構使うキーなんです。ここが短いのも個人的には少し残念な点です。
このあたりもレトロ調を意識しているのか、あるいは誤爆が鬱陶しいキーなので、あえて短めにしているのか。詳細は分かりませんが、気になる人には気になる点かもしれません。
Bluetooth接続がない
私はゲームをするので基本的に有線接続で使うのですが、やはり時々Bluetooth接続したくなるときはあります(サブのPCに繋ぎたくなるときとか)。ノートPC+外付けキーボードという環境下では、USBポートって結構貴重だと思うので、無線で済むデバイスはなるべく無線で繋ぎたいって人は多いんじゃないかと思います。
まあ、レトロなんで。ケーブル出てる方が絵的にしっくりする気もしますけどね。
USBケーブルの本体側がMiniUSB端子
着脱式なのはありがたいのですが、本体側の端子がMiniUSB端子です。専用ケーブルが付属しているので問題ないといえば問題ないのですが、最近はMiniUSBなんて使いませんからね・・・。普通にType-Cが良かったんですけど。普段使う環境に合わせた長さのケーブルを使用したい人なんかは、別途購入する必要ありそうです。
総評
色々書いてきましたが、トータル的には大満足のキーボードです。
- 派手さはないが質実剛健
- 浮気をしても結局戻って来てしまうような、飽きの来ないデザイン
- その名の通り、スピーディーにタイピングできるスピードシルバー軸は最高
- 通常用途にもゲーミングにも
- なによりコスパが非常に高い
買って損はない名品だと思います。日本語配列も買っちゃおうかな。
関連する記事
- Thinkpad トラックポイント キーボード II 辛口・細々レビュー
- VK210 ELECOM ゲーミングキーボード 俺々レビュー
- 左右分離型キーボード【MISTEL BAROCCO MD770】 レビュー
- Keychron K6 俺々レビュー
- Keychron K8 Pro QMK/VIA 俺々レビュー